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チョウモドキの観察例

 2008年7月末、奈良県五條市大塔町で獲られた魚(アマゴ)の体表から採集されたという寄生虫を見せてもらった。以前 「大和吉野川の自然学」という本で、 チョウ(アルグルス)=ウオジラミ(魚虱)というのを見て知っていたので、これか?と思ったけど、
 チョウモドキという種類もあるらしい。このサイトの解説には、「日本には、チョウモドキと近縁種のチョウ(Argulus japonicus)も生息する。チョウモドキが冷水性淡水魚に寄生するのに対し、チョウは温水性の淡水魚に寄生する。両種は、チョウモドキの方がやや大型であり腹部の先端が尖っているのに対して、チョウの腹部が鈍端であることで区別できる。これまでに、両種が混合寄生した例は知られていない(小川, 2004)」とある。
 でもどっちなのか、よく分からない。
 ここで北隆館の「新編 日本動物図鑑」を見ると、両種の線画が載っていた。じっと見て、どちらに似ているかなと比べると、どうやらチョウモドキに近いように思う。チョウモドキは近畿でも、アユ・マス・タナゴの体表から採集記録があるとも書いてある。また、こいつは多分欧州からの移入種だろうとも書いてある・・・。
 奈良県での記録があるのかどうかは知らないけど、こういう変な生き物は、出会っただけでも楽しめる。


アマゴの体表に付いているチョウモドキ。胸びれの下側あたりが好きなよう。




シャーレに水を張って、チョウモドキを入れる。ちょこまかと泳ぎ回る。
かなりすばしっこい。丸い扁平な体に、眼がはっきりしているので、なんとなく愛嬌がある。




1cm弱の大きさの成熟個体らしいヤツを捕まえて、四角い小型の水槽に入れて、背面と腹面を撮影。
ちなみに撮影には、一眼レフに広角レンズを逆向きに付けて拡大撮影する方法(リバースレンズ法)を利用した。
腹面側の眼の下にある丸い器官が吸盤になっていて、魚に付くのに役立っているらしい。
体内にあるツブツブは、卵かな?




寄生生の生き物は、長く飼えないし、自宅の水槽の水温は高すぎる。2日くらい飼ったけど、弱ってきた個体が出てきたので、アルコール漬けになっていただいた。
水槽の水は捨てずに放置していたが、洗おうとして、よく見ると壁面に卵らしいものが産み付けられていた。水は捨てずにしばらく放置することにした。
8月27日、ふと水槽を見ると、ミジンコみたいなのが動いていた。チョウモドキの幼生だった。大きさといい動き方といい、ミジンコみたい。体長0.55mm。この大きさでは、まだ吸盤は出来ていないみたいだった。



<参考になるサイト>

▼錦鯉ワールド倶楽部>チョウ(アルグルス症)

▼水産食品の寄生虫検索データベース>チョウモドキ


公開:2008/08/30 /更新:

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