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職場の知人の庭にあるマツの木の根元に赤っぽいキノコが生えていると聞きました。頼んで持ってきてもらうと、アカハツというキノコでした。学生時には、大学構内でよく見かけたキノコで、油炒めなどして研究室で食べたこともある、ちょっと懐かしいキノコです。久々に顕微鏡で観察してみました。
でも、キノコの胞子や組織の観察方法って、学校では教えてもらえないような気がします。誰かの役に立つかもしれないので、手抜きの写真付きメモですが、紹介しておこうかな。(2005/10/02公開)
写真左:アカハツのきのこ(子実体)。傷ついた所が濃い緑色に変色するのも特徴です。
中:ヒダの部分の断面。櫛の歯状に並んだヒダの様子がわかります。表面積を大きくする意味などがあるらしい。
右:1枚のヒダを切り出したところ。このヒダをさらに薄く切って、顕微鏡で観察します。
写真左:キノコのヒダを薄切りにするために使う道具。発泡素材のピスと、薄く良く切れるカミソリ刃です。
中左:ピスには、カミソリ刃で大きく切れ込みを入れておきます。
中右:ピスの切れ込みに試料のヒダを挟み込みます。
右:水の入った皿を用意し、その上でピスごと試料を削ぐように引き切ります。素早く刃を滑らすようにします。切れた試料は、ピスの薄片と共に皿の水の上に落ちます。数を切れば、中に薄く切れたものもできるでしょうか。
写真左:皿に浮かんだピスと試料の切片。
中左:運良く薄く切れた切片を筆の毛先ですくい取って、スライドグラスに移します。
中右:スライドグラスの切片と少しの水にカバーグラスをそっとかぶせます。
右:低倍率で見たヒダの断面。これでもかなり分厚いんだけれど・・・。菌糸の走る方向はまあまあ見えますかね。
写真左:見やすくなるようにフロキシンで染色したもの。ヒダの表面に胞子が並んでいるのがよく分かります。歯垢を染める薬(歯みがき上手など)がフロキシンの代用となります。
中:胞子のアップ。メルツァー試薬というヨウ素を含む染色液で染めたので、胞子表面の網目模様がよくわかります。アカハツなどベニタケ科のキノコでは、このように良く染まります。うがい薬(イソジンなど)が代用として使えます。
右:担子器と呼ばれる胞子ができる細胞です。先端に角のような突起があって、写真ではすでに胞子は取れていますが、この突起の先に胞子ができます。
▼きのこの話題
きのこ雑記のなかの1コーナー。
今日の雑記では、日替わりで様々なきのこの顕微鏡写真などが掲載されていて、勉強になります。
▼きのこのねどこ
第一線で活躍中のキノコ研究者のページです。なかなか興味深い話題が並んでいます。
公開:2005/10/02 /更新: