●K-mal's HP小さな世界を覗いてみよう >レーウェンフックの顕微鏡(Leeuwenhoek's Microscope)

(公開:2005/03/16、更新:2005/11/27)

ガラス玉で顕微鏡

レーウェンフックの単式顕微鏡を模したガラス玉顕微鏡は、よく科学工作で取り上げられます。「フック 顕微鏡 ガラス玉」などのキーワードで検索すると、たくさんの事例が出てきます。レンズが1枚なので、単式顕微鏡とかシングルレンズ顕微鏡などとも呼ばれます。
私も以前にガラス玉をいただいて、いくつか作ったことがあって、しばらく遊びましたが、どこかに紛失してしまいました。
最近、小物の整理をしたら、残っていたガラス玉を見つけたので、Webの情報などを参考にいくつか作ってみました。

★カードタイプ


左:ガラス玉(10円玉と比べてください)。これがレンズになります。
中左:完成した顕微鏡とプレパラート
中右:本のようにたたんで使います。ガラス玉のレンズが見えます。
右:ガラス玉に眼を押しつけるような感じで覗きます。試料とレンズの距離(1mm以内くらい)を調整すると拡大された像が見えます。


<用意するもの>
□ ガラス玉(直径2〜3mm程度のもの、テックジャムKENISの通販などで入手できます。東急ハンズで売っていた直径4mmくらいのガラスビーズは、表面が平滑ではなく、レンズとしては使えませんでした)
□ 黒いプラ板(プラスチック下敷きや不要になったフロッピーディスクのケースなど)
□ 玉の径よりやや小さいハンドドリル(千枚通しでも可)
□ カッターナイフ
□ ハサミ
□ 厚紙
□ 穴あけパンチ
□ セロテープ(ビニルテープやアルミテープなどでも可)
□ 見たい試料(コケの葉など見やすいです)


プラ板を適当な大きさ(作例では2×5cm)に切り、ガラス玉をはめ込む穴をハンドドリルで開けます。
穴の縁のバリなどはカッターナイフなどで削り、少しすり鉢状の穴にすると玉が安定します。セロテープに玉より少し小さい穴を開けておきます。玉をはめ込み、作っておいた穴あきセロテープで固定します(アルミテープの方が見栄えいいかな?)。これで顕微鏡の完成。

試料を固定する厚紙をプラ板くらいの大きさに切ります。顕微鏡と重ねたときにレンズの前にあたる部分にパンチで穴を開けます。見たい試料をセロテープに貼り付け、パンチで開けた穴の部分に貼り付けます。これでプレパラートの完成。

顕微鏡とプレパラートを重ねて、テープで留めます。

<参考にしたサイト>
レーウェンフックの顕微鏡→http://www.kagaku.info/faq/leeuwenhoek030905/

ガラスビーズ2mmφ(10g入\209)オンライン販売→http://www.tech-jam.com/items/KN1110931.phtml

★ネジ口タイプ

ペットボトルなどのネジ口を利用して、ピント合わせをしやすくしたタイプです。

<参考にしたサイト>
Onsenキッズ「工作しよう!」ペットボトルで顕微鏡をつくろう!
http://g3400.nep.chubu.ac.jp/onsenkids/craft/p-scope/p-scope.html


ペットボトルのネジ口の部分を利用します。ハンドドリルでガラス玉より少し小さい穴を開けます。


覗き口はマジックで黒く塗りました。レンズを置いて、少し凹むくらいに押し込みます。ラップなどにセロテープで見たい物を貼り付けたものをプレパラートにして、ネジ口に載せ、フタの顕微鏡をねじ込んでいきます。ピント合わせは微妙な調整が必要です。


ピントを合わせた状態で、ルーペを使ってさらに拡大して眺めることもできました(上の写真)。
うまく調整すれば、複式顕微鏡にもなりそうです。像のゆがみ(収差)は大きいですが・・・

★もっと本格的なシングルレンズ顕微鏡を作る

以下のサイトを参考にして、もう少し本物に近いデザインのものも作ってみました。金属加工は苦手なので、あまり加工せずに使えそうなものを100円ショップやホームセンターで選びました。金のこで切って、切り口にヤスリをかけて、ドリルで穴を開けて、タップでネジ穴を切って、組み立てました。


アルミ製の取手金具や香台、真ちゅう板(0.1mm厚)、両面テープは100円ショップで、ネジ類やアルミ板棒はホームセンターで調達しました。レンズは直径約2.5mmのガラスビーズです。資料を刺す針は昆虫標本用のものを使っています。


チョウネジを使うつもりでしたが、黒い持手のネジに換えました。ネジ切りがちょっとぐらついたので、ガタが出て、ピントの調整がしにくいです・・・。まぁ格好だけは、それなりにできたかな?

以下のサイト中には、ガラス管をガスバーナーで加工して、ガラスレンズから自作されている方々もおられます。

レーウェンフックの顕微鏡を自作する(Omnisサークル)
http://www.asahi-net.or.jp/~dz5y-mrt/omnis14.html

明視距離とレーウェンフックの顕微鏡
http://fnorio.com/0005distinct/distinct.htm

シングルレンズ顕微鏡を作ろう
http://www.center.spec.ed.jp/c/ce/h14_ce/img_ce32/science/biology/302.pdf

実験生命科学「光学顕微鏡を作る」
http://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/~ckam/sougou2005.html
参考資料に顕微鏡の画像があります。

液晶・有機光電子材料実験講座の顕微鏡のページ
http://www.op.titech.ac.jp/lab/Take-Ishi/html/ki/hg/et/mic/micm.html
屈折率1.5程度のガラスで直径約1.3mmの球形レンズ(ボールレンズ)を作ると、レーウェンフック作の266倍顕微鏡に相当する倍率になるそうです。


 倍率は、ガラスの屈折率と球の半径が分かれば、計算できるそうです。
m=500×(n−1)/n×r
m:倍率、n:ガラスの屈折率、r:球の半径(mm)
屈折率1.52で、直径10mm(=半径5mm)のガラス球をレンズにすると、34.2倍の倍率になることがわかります。
以上、『光学機器大全』より抜粋。(2005/11/27追記)

レプリカの写真

 2005年8月13日、大阪自然史博物館で展示されていたレーウェンフックの顕微鏡のレプリカです。実物と同じサイズなんですが、とても小さいものでした。

●さらに改良型を作る

Fan Science Gallery で、A GLASS-SPHERE MICROSCOPEという、シングルレンズ顕微鏡の決定版みたいなデザインのものが紹介されていました。さっそく、アレンジして作ってみました。また、このサイトでは、レンズ付きフィルムのレンズを利用した本格的な顕微鏡の自作についても図解されています。英語は苦手だけど、図を見るだけでもとても参考になります。(2005/03/19追加)

 要は、ガラス玉顕微鏡と試料(スライドグラスを使ったプレパラート)との隙間を微調整できるような方法やデザインを考えるといいわけです。ついでに照明光を取り込む方法も考えます。
 Fan Science Galleryのデザインでは、豆電球の照明装置を作っています。私は手抜きして懐中電灯などを使えるように反射鏡を台の下に作りました。
 いつものごとく、材料は加工をあまりしないでいいように、100円ショップやホームセンターで調達(家に転がっていた材料なども使用しています)。ネジ穴などをあけた後、両面テープやネジで組み立てて、作りました。


もう一つ、携帯用の物も自作しました。T字型の金具を利用したものです。これもスライドグラスのプレパラートを見れるように考えました。T字型の金具が鉄なので、プレパラートの固定に磁石が利用できます。ピントの調整もスムーズです。(2005/03/19追加)


さらにもう一つ、携帯用のデザインを考えました。今度は100円ショップなどで売っている樹脂製のまな板を利用したものです。部品数も限界まで少なくしたつもりです。樹脂板なので、切ったり、穴を開けたり、ネジを切ったりの加工が楽です。プレパラートには厚紙を利用。パンチで穴をあけ、ラップなどのシートを両面テープで貼り付けて試料を挟みました。プレパラートの固定は、クリップで挟みます。(2005/03/22追加)

100円ショップで見つけた、カード入れや、コーヒーフィルター置きなどを加工してガラス玉顕微鏡に仕上げました。写真右の作例では、スライドグラスを固定するために髪留めのスリーピンを加工してネジ止めしました。適当な大きさの台があれば、なんでもガラス玉顕微鏡にできそうです(2005/05/04追加)

●見え方は?

 あまり良い写真ではないですが、デジカメを押しつけて撮った画像です。
たかが「ガラス玉顕微鏡」とあなどるなかれ。ガラス玉の当たり外れはあるものの、よく見えるガラス玉では、小売りで2万円台の学習用顕微鏡と遜色ない見え方をします。
 チャワンタケの子嚢胞子が見えた時には正直驚きました。
・左:つくし(スギナ)の胞子
・中:つくし(スギナ)の茎断面
・右:ツバキキンカクチャワンタケの子嚢

●レーウェンフック関連リンク

今日生まれの偉人伝 10月24日、アントニー・レーウェンフック(Antonie Leeuwenhoek)
http://www.eonet.ne.jp/~m-hirose/ijinden/10gatu/1024.htm

森田保久の高校生物関係の部屋「人物小史」レーベンフーク
http://www.asahi-net.or.jp/~DZ5Y-MRT/hist1.htm#1-3

レーウェンフックの家
http://www.johannesvermeer.com/leeuwenhoek.html

「シングル・レンズ―単式顕微鏡の歴史」りぶらりあ選書
ブライアン J.フォード著, 伊東智夫訳(法政大学出版)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/458802115X/qid%3D1115269539/250-1941377-6837819


●K-mal's HP小さな世界を覗いてみよう >レーウェンフックの顕微鏡(Leeuwenhoek's Microscope)